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エニアグラムの「サブタイプ」とは?本能のエネルギーを知って、より現実的な自分理解を深める方法

Tags: エニアグラム, サブタイプ, 自己理解, 他者理解, 本能タイプ, 人間関係, チームワーク, 職場

エニアグラムは、9つのタイプを通じて人の基本的な動機や恐れを理解するための強力なツールです。これまでの記事では、基本的なタイプやウイングについて解説してきました。しかし、同じエニアグラムタイプの人でも、なぜか性格や行動パターンが異なるように感じられることがあるかもしれません。その違いを理解する鍵となるのが、「サブタイプ」という概念です。

サブタイプは、私たちが持つ3つの基本的な「本能的衝動」が、それぞれのタイプとどのように組み合わさって現れるかを示します。このサブタイプを理解することで、より現実的で具体的な自己理解、そして他者理解へと繋がります。

エニアグラムにおける「サブタイプ」とは

エニアグラムのサブタイプは、人間が生まれつき持っているとされる3つの基本的な「本能」に基づいています。これらの本能は、私たちが生き残り、他者と関わり、環境と相互作用する方法に深く関わっています。

3つの本能的サブタイプは以下の通りです。

  1. 自己保存(Self-Preservation: SP)

    • 自分自身の安全、健康、快適さ、資源の確保といった、生存に必要な基本的な事柄に関心が向かう傾向が強いです。
    • 衣食住、お金、健康管理、物理的な環境の安定などを重視します。
    • 地に足がついた現実的なアプローチを好むことが多いです。
  2. ソーシャル(Social: SO)

    • 集団、コミュニティ、社会との繋がり、他者との関係性、自分が属するグループ内での立ち位置などに関心が向かう傾向が強いです。
    • 人間関係の構築、チームワーク、社会的なルールや役割、貢献などを重視します。
    • 他者との関わりの中で自分を認識することが多いです。
  3. ワン・トゥ・ワン(One-to-One / Sexual: SX)

    • 特定の個人との深い繋がり、情熱的な関係性、強い刺激や探求心などに関心が向かう傾向が強いです(「Sexual」は性的な意味合いだけでなく、より強い集中力や融合希求を指すことが多いです)。
    • 対象との一体感、深い理解、相互の影響、個人的な魅力などを重視します。
    • エネルギーが特定の対象に集中的に注がれることが多いです。

私たちは皆、これら3つの本能全てを持っていますが、人によって特に強く意識される本能と、比較的無頓着になりやすい本能があります。最も強く現れる本能がその人の「優勢サブタイプ」となり、その次に現れる本能が「二番目のサブタイプ」、最も意識しにくい本能が「劣勢サブタイプ」となります。

タイプとサブタイプの組み合わせ

エニアグラムタイプが基本的な「内側の動機」を示すのに対し、サブタイプはそれが「外側の世界でどのように現れるか」に影響を与えます。同じタイプでも、サブタイプが異なると、その特徴や行動パターンが大きく変わって見えることがあります。

例えば、タイプ5(観察者、研究者)を考えてみましょう。

このように、タイプという核となる動機は同じでも、どの本能が優勢であるかによって、そのエネルギーの向け方や具体的な行動パターンが異なります。これが、私たちが経験する個性の多様性をさらに豊かにしています。

サブタイプ理解を自己理解と他者理解に活かす

サブタイプの理解は、エニアグラムをより深く、そして現実的に活用するために非常に役立ちます。

自己理解への応用

他者理解への応用

職場での具体的な活用例

例えば、あなたがITエンジニアのチームリーダーだとします。チームメンバーにエニアグラムに関心がある人がいれば、サブタイプの視点を共有してみるのも良いでしょう。

もちろん、これはあくまで傾向であり、個人差は大きいです。しかし、サブタイプという視点を持つことで、今まで見えなかった「人それぞれの現実的な関心事やエネルギーの方向性」を理解する手がかりを得ることができます。

まとめ

エニアグラムのサブタイプは、私たちのタイプという内側の動機が、自己保存、ソーシャル、ワン・トゥ・ワンという3つの本能的衝動と組み合わさることで生まれる、より現実的で具体的な個性の現れ方を示します。

サブタイプを理解することは、同じタイプでも異なる行動パターンを持つ理由を知り、自分自身の深い欲求や無意識の行動を認識する手助けとなります。また、他者のサブタイプにも目を向けることで、人間関係やチーム内の多様性をより豊かに理解し、建設的な関わり方を模索するための貴重な視点を得ることができます。

エニアグラムのタイプ診断と同様に、自分のサブタイプも自己探求を通じて見つけていくものです。このサブタイプの概念が、あなたが自分自身や周りの人々をより深く理解し、「わたしを知り楽になる」ための一助となれば幸いです。